日本農芸化学会2020年度大会における研究成果発表に関するお知らせ
南日本酪農協同株式会社は、日本農芸化学会2020年度大会において、下記のとおりLP432株のピロリ菌によるヒト胃上皮細胞株炎症誘導に対する抑制作用の共同研究成果を発表しましたので、お知らせいたします。
記
研究発表概要
■演題
Lactobacillus plantarum 06CC2 株 の Helicobacter pylori によるヒト胃上皮細胞株炎症誘導に対する抑制作用
■発表者
南日本酪農協同(株) ○李怡然、竹下正彦、中野智木、有馬勇夫
モンゴル国立科学技術大学 C. Tsend-Ayush
モンゴルバイオテクノロジー協会 T. Oyunsuren
東海大学農学部 井越敬司
東海大学医学部 古賀泰裕
■公開日
2020年3月5日(木)
■概要
【背景と目的】
Helicobacter pylori(ピロリ菌)感染は胃の炎症や潰瘍などの慢性炎症疾患に深く関与しており、胃炎や胃ガンのリスクが高くなることが知られている。我々は今までにモンゴル伝統的乳製品から分離したプロバイオティクス乳酸菌Lactobacillus plantarum 06CC2(06CC2)株の整腸、アレルギーの軽減、及び免疫賦活効果等を報告した。本研究では、病原性タンパク質CagAの発現を有するHelicobacter pylori No.130(HP130)株を用い、MKN45細胞における06CC2株のIL-8産生抑制作用とその作用機序を検討した。
【実験方法】
10%FBSを含むRPMI-1640培地で培養したヒト胃上皮細胞株MKN45細胞に、BHIで培養したHP130とMRSで培養した06CC2を加え共培養し、培養上清中のIL-8の濃度を測定した。また、MKN45細胞の核内におけるNF-κBの挙動をwestern blotで評価した。さらに、HP130株と06CC2株共培養後のCagAについても測定を行った。
【結果と考察】
MKN45細胞におけるHP130株添加によるIL-8産生誘導を検討したところ、コントロールに比べ、HP130株添加による培養上清中のIL-8 濃度が著しく増加した。さらに、06CC2株を添加することで、IL-8濃度が06CC2株添加に伴い、用量依存的に減少した。細胞核内のNF-κB量はHP130株添加によって有意に上昇したが、06CC2株の添加で、NF-κBの核内移行が抑えられた(p<0.001)。また、MKN45細胞内のCagA量を評価したところ、HP130株添加に比べ、HP130+06CC2混合添加において、CagAの減少が確認された。以上の結果から、06CC2株はHP130株による誘導された炎症因子の産生を抑制する効果が示され、06CC2株がHP130の活性を抑えることが示唆された。
■追加説明
本演題の発表は3月27日の予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、学会が開催中止となりました。大会中止に係る措置として、大会ホームページ上への掲載をもって演題の発表が成立になりました。
(日本農芸化学会2020年度大会(福岡)中止のご連絡:https://www.jsbba.or.jp/info/news/news_20200227.html )
以 上