日本農芸化学会2017年度大会における研究成果発表に関するお知らせ

南日本酪農協同株式会社は、日本農芸化学会2017年度大会において、下記のとおり乳酸菌に関するヒト試験の共同研究成果を発表しましたので、お知らせいたします。

研究発表概要

■演題
Lactobacillus plantarum 06CC2摂取による免疫賦活に及ぼす影響と腸内環境に与える効果について

■発表者

南日本酪農協同(株) 竹下正彦、松崎竜也、○李怡然
モンゴル国立科学技術大学 C. Tsend-Ayush
モンゴルバイオテクノロジー協会 T. Oyunsuren
鹿児島県厚生連健康管理センター 宮原 広典
鹿児島大学医 上村 修司

■発表日
2017年3月19日(日)

■概要

【背景と目的】

我々は今までにモンゴル伝統的乳製品より乳酸菌を約2,000株分離し、その中からプロバイオティクス性が期待される20株を選び出した1)。さらに、動物実験においてインフルエンザウイルス感染抑制を示し、NK細胞を活性化する乳酸菌をスクリーニングしたところLactobacillus plantarum 06CC2 (06CC2)株を見出した2,3)。本実験では06CC2株の摂取がヒトの免疫に及ぼす影響と腸内細菌叢へ与える効果について調査した。

【実験方法】

60名(Age 22-61、プラセボ群31名、06CC2群29名)の健常者を対象に二重盲検試験を実施した。プラセボ食群にはStreptococcus thermophilus TA-45で作ったヨーグルトを、06CC2群には06CC2で発酵したヨーグルトを1日2回(80g/回)、4週間摂取させた。摂取前、摂取後2週間および4週間の血液と糞便を採集し、NK細胞活性とリンパ球幼若化活性(Con-A)の測定を行い、腸内細菌叢解析については、一部(n=10)はメタゲノム解析で腸内細菌の占有率を解析し、残りは定量的PCR法を用いて測定した。

【結果と考察】

06CC2ヨーグルト摂取群のNK細胞活性は摂取前に比べ摂取後2週間で有意(p<0.05)に上昇した。リンパ球幼若化活性は摂取前に比べ摂取後4週間で有意(p<0.05)に上昇した。腸内細菌叢については、メタゲノム解析により06CC2ヨーグルト摂取4週間でBifidobacteriaceae科の比率が有意に増加し、Lactobacillus属は摂取後2週間、4週間で摂取前に比べ有意に上昇した。さらに、Faecalibacterium属は摂取2週間後において、06CC2試験食群がプラセボ食群に比べ有意(p<0.05)に上昇した。以上の結果から、06CC2の経口摂取により、ヒトの免疫に対して影響を与えることが確認され、さらに腸内細菌叢についても菌叢の改善が見られたことが示唆された。

参考文献

1) Takeda S. et al., J. Anim. Sci. J., 82, 571-579 (2011)

2) Takeda S. et al., Int. Immunopharmacol., 11, 1976-1983 (2011)

3) Takeda S. et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 77, 1372-1378 (2013)

以 上