宮崎県立都城農業高等学校 畜産研究部・酪農班

部活動を通して授業では学べないことを日々吸収している生徒たちに密着しました。

雄大な霧島連山の自然に囲まれ、“畜産の町”としても知られる宮崎県都城市。
今回フィーチャーするのは、都城農業高等学校の部活動「畜産研究部・酪農班」のメンバーです。ベテランの3年生から入部したての1年生まで、部活動を通して授業では学べないことを日々吸収している生徒たちに密着しました。

部活動での体験を通して経験値が格段にアップ

「将来は、畜産の世界に新規参入したいです!」と意気込んでいるのは、酪農班で唯一の3年生、宮田将弥さん(17歳)。実家が和牛繁殖農家ということもあり、自然と畜産の道を志すようになったそうです。牛を養って繁殖し、新しい世代をつくっていく過程に魅力を感じており、作業の中で大変に思うことはない!と断言するほど、畜産にハマっている生徒のひとり。

学校の授業では、畜産の基礎や一般管理を学んでいきますが、部活動では牛の体を洗う牛体洗浄や家畜共進会に向けた調教、毛刈りなどの実践を通して、より内容の濃い技術を習得していきます。「担当牛と一緒に共進会に出場して、賞がもらえたときは嬉しかったです」と、この部活動をしているからこそ経験できる貴重な機会を経て、日々成長を遂げてきました。平日の授業終わりはもちろん、学校が休みの土曜、日曜も部活動に顔を出し、文字どおり朝から晩まで牛と一緒の生活。「決して高校生らしい生活ではないですよね~」と、冗談半分に笑って話す顔には、充実感が溢れていました。

2年目がスタート 目指すは、頼れる先輩!

真っ赤なつなぎ姿がさわやかな田中賢志郎さん(16歳)は、開口一番に将来の夢への熱意を語ってくれました。「高校卒業後は酪農国といわれるカナダに留学して、外の世界を勉強したいです。ゆくゆくは実家の酪農を継ぐ予定です」。

同部活に入部を決めたのも、畜産に関する知識や技術など、より実践に近いことを学ぶことができるから。顧問の宮田先生はもちろん、先輩から学ぶことも多いと言います。歩行調教中の先輩・宮田さんを見ながら「さすが、先輩!」と、実力の差にもどかしさを感じるときもありますが、今年は3人の新入生が入部して、田中さん自身も後輩の面倒をみる立場に。「これまで先輩に教わってきたことをしっかり自分のものにして、それを後輩に教えていくことで、自分自身も再確認しながら成長したいです」と、早くも2年生らしい頼もしい背中を見せてくれました。

毎日が新しい学びとの出会い「とにかく酪農って楽しい」

今年入学、入部したばかりの木下優さん(15歳)は、「当たり前ですが、牛は話せないので、いま何を考えてるんだろうってイメージしながらお世話をしています。メープルとサファイア(牛の名前)の2頭を担当していますが、なついてくるとかわいくてたまらないんです!」と、満面の笑顔。           

学校でも部活でも、教わることは初めてのことばかり。入部したての頃に牛に足を踏まれて怖い思いをしました、と言いながらも、畜産に対して不安や戸惑い以上にワクワク感が強いのは、好奇心旺盛な性格だから。また、「私が努力した分、牛もこたえてくれます。負けず嫌いなので、先輩にもどんどんついていって、いずれ追い越したいです」と意欲的な一面も見せてくれました。今年は、木下さん含め女子3人が入部。お互いに切磋琢磨しながら、立派な畜産家になるという夢への第一歩を踏み出しました。

さらなる高みを目指して、牛と生徒とともに邁進

畜産研究部(酪農班)は、20年以上の伝統がある部活動です。

担当教諭の宮田和行先生は、「私が就任して今年で6年。生徒の頑張りもあって、今では多くの大会で入賞できるようになりました。何よりうれしいのは、地元の農家に一目置かれる存在にまで成長できたことです」と、牛の世話する生徒たちを誇らしそうに見つめます。

これまでの卒業生を含め、同部で活動する生徒たちは、畜産に対する熱量が大きい子ばかり。部活動を通して、さらにステップアップしたいという前向きな姿勢の生徒たちを目の前に、宮田先生も自身が持つ知識や技術を惜しみなく継承。どんなときでも、一人ひとりと全力で向き合うことを心がけています。「牛は、その生産物で人間に潤いを与えてくれる尊い存在。生徒たちには、単なる動物ではなく、家族として接するように指導しています。強い信頼関係でつながれば、牛は必ず私たちの期待に応えてくれるんです」。そう話す宮田先生の思いは、雨の日も休みの日にも欠かさず農場へ足を運ぶ生徒たちに、確実に伝わっています。

DATA/
宮崎県立都城農業高等学校
宮崎県都城市祝吉1丁目5-1
TEL 0986-22-4280
http://www.miyazaki-c.ed.jp/miyakonojo-ah/